50歳から始める山登り~誰も教えてくれない山のマナーとリスク~④
2023/12/16 栗コラム
■登山届は必要か?
今では、登山口において登山届の提出を義務化されているところもありますし、インターネットで提出できるところもあります。
大事なのは、登山届を提出するという行為そのものよりも、届を出す前段階での、行程の立案、検証をすることとともに家族もしくは近しい人に、その計画を知らせることです。
万が一遭難した場合に、登山届を提出していても、勝手に捜索が開始されることはありません。
家族や友人もしくは会社の同僚などが、山に行ったまま帰って来ないことを知って、警察に届けを出すのです。
警察に届けを出す人が居なければなりません。
そう考えれば、登山届もしくは山行計画表を、山に行く前に家族や友人に渡しておくべきでしょう。そして、無事に下山したなら、その報告もしてください。
下山報告がなければ、山に行ったことを知っている人は、何らかの行動を起こすはずです。
想像してみてください。
何らかの原因で、山で遭難してしまった時のことを。
道迷いかもしれないし、怪我をしてしまったかもしれない。
単独行動で、行動不能に陥った時のことを!
果たしてそんな時に、誰とも連絡がつかない場合に、救助が来ることを期待できるでしょうか?
登山届を提出していたとしても、あなたが今どんな状況にあるかは、誰もがわからないことです。
同居人や、山に行ったことを知っている友人等が居れば、帰りの遅いことを心配して、あなたに連絡することでしょう。
でも、連絡がつかない。
そうして初めて遭難しているのかもとの思いをもって相談する先は警察になるのです。
誰にも行き先を告げずに単独で山に入っていた場合はどうなるでしょう?
無断欠席や欠勤となった場合には、学校や勤務先の人が心配して連絡を取ろうとするかもしれません。
そこで連絡がつかない場合には、家族や緊急連絡先に連絡が入ることでしょう。
連絡を受けた人がそこからどう行動するかになるのでしょうが、山に行っていることを知らなければ、遭難したかも?と言うところまでたどり着くには、相当な時間がかかるかもしれません。
たとえ、登山届を提出していたとしても。
そう考えると、やはり山に行く場合に大事な点は、行き先と行程を身近な人に伝えていくこと。もう一点は、通信手段を持っていることになるのではないでしょうか。
通信手段があるばかりに、安易な緊急要請があるとも言われますが、そこで命拾いをした事実もあるはずです。